今年もセイジ・オザワ松本フェスティバルが始まっています。
今年の目玉はなんと言っても昨年叶わなかったブラームス4番のリベンジです。
ところが残念!今年も体調不良でベートーヴェン7番に変更です。
どちらかと言うとベートーヴェンの方が激しくて大変な気もするのですが、ブラームスへの思いがより深いのでしょうね体調万全で臨みたいとおっしゃっていました。
今年の私の視聴順は
8月18日
オネゲル/交響曲第3番「典礼風」H.186
指揮:ファビオ・ルイージ
ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調Op.92
指揮:小澤征爾
8月19日
マーラー/交響曲第2番 ハ短調「復活」
指揮:ファビオ・ルイージ
8月22日
ベートーヴェンがあまりにも素晴らしかったので
松本城のスクリーンコンサートに行きました。
松本城をバックにとても開放的で雰囲気が良かったです。
ところがオネゲルが終わりベートーヴェンが始まったとたん雨。
皆さん根性が違う!!傘を差して鑑賞しています。
お蔭様で2楽章になると雨も上がり、虫の声と一緒に音楽に浸る?ことが出来ました。
オネゲル
初めて聞く曲です。
第一楽章はいかにもオネゲルという曲想でした。
推進力と言うより、何かに追い立てられているかのような奇妙な勢いが感じられます。
これは音程が不安定なためだと思いますが、このせきたてられ感が私のオネゲルです。
根底に不安感が居座った感覚です。
ここら辺の表現力はさすがにSKOです。音が濁らずみごとに描ききっていました。
第二楽章に入ると一変、やさしい曲このまま穏やかに終わって!という願いは叶わず。やはり暗い闇が襲ってきます。
柔らかい表現はこのオケの得意とするところ。
第三楽章は悪の勢力がどんどん大きくなり頂点に達するものの、善が勝って平和な世界がやってくるというような、
まるで映画音楽を聴いているような感覚に襲われました。頂点に達する集中力はすざましく、本当に凄いオケだなと思ってしまいます。
ファビオ・ルイージも見事でした。
ベートーヴェン
小澤とSFOはこの曲を1993年に演奏しています。
実はこの年のチケットが最も購入が難しかったものでオケとオペラの二択に迫られ、
前年のオペラ「エディプス王」が余りにも素晴らしかったのですっかりオペラにはまってしまいベートーヴェン7番を聞き逃してしまいました。
後の録音を聞いてオケに行かなかったのは一生の不覚だったと悔やんだものです。
小澤さんの体調不良のお陰と言っては失礼ですが長年ためてきた悔しい思いが今年いっきに晴れることになりました。
演奏は私が語る必要がないほど、本当に素晴らしく大感動でした。
小澤さんの指揮になるとオケのメンバーの集中力が何倍にも上がるのがわかります。
第一楽章の出だしの一音。小澤ブシが炸裂。ジャンではなくジィャ~ン。これが良いのです。
これが他の指揮者では出せない音で、小澤ファンはこれを待っています。
楽章の間、小澤さんは思ったよりも疲れた様子でビオラの川本さんが優しいまなざしで精一杯面倒を見ていました。
第二楽章、深く穏やかな弦の音がこんなにも感動的に聞こえたことはありません。メンバーの集中力が桁違いでした。
これで小澤さんの指揮が見られなくなってしまうのではないかとの思いがふと浮かんでしまい、涙が止まらなくなってしまいました。
隣の席のご夫人も同じように涙を拭いています。
第三楽章から第四楽章は休み無しで演奏です。
大丈夫?なんて思った私は馬鹿でした。小澤さんのエネルギーは並ではありません。
スクッと立ち上がったとたん音量が倍に跳ね上がり、猛烈な盛り上がりで終わりました。
当然観客は総立ちで拍手は鳴り止みませんでした。最高。
マーラー
これも名演奏でめちゃめちゃ盛り上がりました。
代役のアルト:藤村実穂子の歌唱力がバツグンでソプラノ:三宅理恵との二重唱もバツグンの出来
もともと盛り上がる曲ですから当然では有りますが、それを上回る盛り上がりで観客は大興奮、総立ちで拍手が鳴り止みません。
ファビオ・ルイージさんはオケに完全に認められていると感じました。
歴代のゲスト・コンダクターに比べ楽団の集中力が一ランク上です。
マーラーのような大編成の複雑な曲はオーケストラの集中力と技量にかかっていると言っても過言では有りません。
合唱も素晴らしい出来栄えです。キレと音量どちらも文句なしです。
今後はこのコンビでセイジ・オザワ松本フェスティバルは進んでいくのではないでしょうか。
今年はこれでおしまい。
毎年出かけている「ふれあいコンサート」は今年はお休み。
なぜか?S席を買ってしまい予算オーバーです。